チャバネゴキブリとは?
チャバネゴキブリは、昆虫綱ゴキブリ目に分類されるゴキブリです。
日本ではクロゴキブリと並んでメジャーな種で、このチャバネゴキブリは主に室内で繁殖して私たちを困らせています。飲食店などで見かける種は大抵このチャバネゴキブリ。
↑チャバネゴキブリは茶色くて体長は15mmまで(左)、クロゴキブリは赤黒くて大きければ体長40mmぐらいに(右)
チャバネゴキブリの身体的特徴
チャバネゴキブリは、体長は10~15mm程度になります。ゴキブリ全般の中では比較的小さい部類だといえるでしょう。
体色は明るい茶褐色で、半透明の羽には鮮やかな光沢があります。しかしその羽は実は飾りでしかなく、チャバネゴキブリは実は飛ぶことができません。よく「ゴキブリは目が合うとこちらに向かって飛んでくる」なんていいますが、あれはクロゴキブリのことを言っていて、チャバネゴキブリとは関係のない話なのです。
あとゴキブリと言えば、とんでもない速度で走って逃げるイメージがありますが、これについてもクロゴキブリの印象によるところが大きいです。チャバネゴキブリは目にも止まらぬような速度で走ることはできませんし、そもそも人間に対する警戒心が少ないので、一目散に逃げ去ることすらあまりしません。ある意味ふてぶてしいゴキブリ。
チャバネゴキブリの生活と繁殖
元々熱帯が原産の昆虫なので温かい場所を好みます。そのため屋外で生活することはほとんどなく、大抵人間の家屋の中に住み着いて生活しています(屋外だけに住むモリチャバネゴキブリという種もいますが)。
屋内の中でも好むのは、やはり温かくて狭い場所。天井裏や床下、または冷蔵庫やエアコンなどの家電製品の中に入り込み、集団でコロニーを作って生活していきます。
交尾・産卵はそこそこ温かい場所であれば年中行うことができます(月に一度ぐらいのペース)。一度の産卵で作った卵鞘には40~50個の卵が収納されており、メスはそれを自分のお尻にくっつけたままで生活していきます。孵化までの期間は20日前後で、成虫に成長するまではだいたい60~90日程度。生育したチャバネゴキブリはそこからさらに150日程度は生き続けます。
このように年中が繁殖期で、産卵数が多く、そのサイクルも非常に短いことから一度屋内に入り込まれるととんでもない速度でその数を増やしていきます。もし屋内でチャバネゴキブリを発見してしまったら、すでに大繁殖を許してしまっている可能性があります。
↑チャバネゴキブリの卵鞘。中には40~50の卵が入っている。
チャバネゴキブリの食事と天敵
チャバネゴキブリはご承知のとおり雑食性です。昼間は狭いコロニーに密集してじっとしていますが、夜になるとエサを求めて活動を始めます。
成虫のエサは、ハエなどの小さな昆虫、植物、人間の食事の食べ残しはもちろん、ペットフードや古本、人間の毛髪・大便、自分達の糞まで食べてしまいます。しかも環境によっては共食いまですることも。好き嫌いなくなんでも食べる、食事に関しては非常に優等生。だからこそ、どんな環境でもしぶとく生きていけるのでしょう。
ゴキブリはキュウリだけは苦手、なんて話も聞きますが、普通にキュウリを食べている目撃談もあって、真偽は定かではありません。
逆に天敵は、アシダカグモなどの大型蜘蛛類、ムカデなど。しかしゴキブリ対策のために、アシダカグモやムカデと同居するのはちょっと厳しいところです(汗)
チャバネゴキブリの侵入を防ぐための対策
まずはチャバネゴキブリの屋内への侵入経路を塞ぎましょう。2mm程度の平たい隙間があれば彼らは平気でそこを通り抜けてきます。窓のさん、天井裏、床下、エアコンダクトなど、ゴキブリの侵入の可能性がある隙間を洗い出し、パテやテープなどで塞いでいきましょう。
あと可能性が高いのは下水からのルート。排水管の内側は虫やゴキブリの侵入を防ぐために通常「返し」がついていますが、盲点なのは配水管の外側を這って登ってくるケース。そこに隙間がある場合はガムテープなどで完全に塞ぎましょう。
意外に盲点なのは、屋外から自分で持ち込んでしまうパターン。飲食店で働いていて、着用してた制服や、置いていたカバンの中へのゴキブリの侵入に気付かずにそのまま自宅に持ち帰ってしまう場合が少なからずありえます。飲食店・病院などのゴキブリが多い施設に勤務している場合は気を配ったほうが良いかと思います。
さらには、チャバネゴキブリの住み良い環境を排除することが大事です。部屋の中はこまめに掃除して、可燃ごみや生ゴミを長期間置くようなことはしないようにしましょう。食事の食べ残しは必ず密閉容器に入れるか、冷蔵庫の中にしまうように。ペットフードもしっかりと密閉し、ペットの糞の始末もこまめに。キッチン周りは、夕食後はなるべく水分を布巾で綺麗に拭きとっておくとよいでしょう。あとダンボール材も彼らにとってはエサや住処になるので、いらないダンボール箱は始末。このようにチャバネゴキブリがそこに住む理由を排除していけば、彼らが居つくことはなくなります。
もしチャバネゴキブリの繁殖を許してしまったら
もし室内で定期的にチャバネゴキブリを見かけることになってしまったら、残念ながらそれはもうチャバネゴキブリの繁殖を許してしまっています。一刻も早く対策を講じて殲滅しましょう。放置すればするほど彼らはその数を増やし、殲滅が困難になってしまいます。
1.ホウ酸ダンゴ型
お手軽なのはホウ酸ダンゴの設置です。ホウ酸ダンゴは海外でも「ジャパニーズ・ホウサン・ダンゴ」として知られるほどにゴキブリ対策としては世界的に有名な手段となっています。
市販品でも十分な効果が期待できますが、ホウ酸の含有量を増やせば、それを摂取したゴキブリの糞にもホウ酸の効果が得られたり、誘引物質を増やして(タマネギやジャガイモ)引き寄せる効果を高めたり、その家のゴキブリに対してカスタマイズをすることができるため汎用性が高いです。ゴキブリの通り道になりそうな場所に設置してやりましょう。
ただし老人や幼児、ペットが同居する家では誤飲の可能性もあるのでその点だけは十分に注意しましょう。
2.毒餌型(ベイト型)
仕組みとしてはホウ酸ダンゴと全く同じです。誘引剤でゴキブリを引きつけて毒のエサを食べさせて、巣に帰ったそのゴキブリが死亡、その死骸や糞を食べたほかのゴキブリも死亡、という原理。プラスチックケースの中に収納されているので誤飲の心配がないのがメリットです。その効果もかなり信頼性が高く、ゴキブリ対策としてはかなり安定した方法になります。
3.煙霧型
一度でゴキブリの成虫を全滅させるという点では最良の手段だといえます。ついでにダニやノミまで退治できるので害虫殲滅能力としても最強。ただし食器や電子機器にラッピングをする必要があり、ペットに魚や昆虫を飼っている場合は数日間外部に撤去しなければいけないなど、使用するためには一手間かかるのが難点です。
また煙系の殺虫剤は卵には効果がありません。一度の使用で成虫を全滅させても卵が残ってしまうので、孵化するであろう20日後に再び殺虫剤を炊く必要が出てきます。
4.ゴキブリホイホイ型
捕獲したゴキブリの姿がはっきりと見えて、退治している感は一番強いです。しかし捕まるのは活動的に動き回る成虫が多く、コロニーでじっとしていることが多い幼体はそんなにはかかりません。ゴキブリの数は減らすことができますが、根絶には繋がらないのでこれだけの運用はおすすめできません。場所もとりますし、ビジュアル的にもちょっとアレですしね(苦笑) ホウ酸ダンゴやコンバットの合わせ技として使っていきましょう。
チャバネゴキブリと戦う!
対策はいろいろ講じていても、いざゴキブリを目の前にするとどうしていいかわからなくなるものです。特に女性はゴキブリというだけで萎縮してしまう人も多いことでしょう。
しかしそのとき逃がしてしまった個体は確実に部屋の中のどこかに住み続けるわけですし、繁殖して数を増やすことにもつながってしまいます。勇気を出して確実に始末しましょう。
遠距離からでも殺せるのはゴキジェット系のスプレータイプ。最近は毒ではなく冷却によって殺すタイプが多く、その場合はキッチンのようなデリケートな場所で使うのにも抵抗がないのでおすすめです。
手元にスプレーを用意していない場合は打撃戦です。スリッパなり、丸めた雑誌などで叩いて殺しましょう。チャバネゴキブリはそれほど俊敏ではありませんし、何より飛ぶことがありません。落ち着いて対応すれば、接近戦で退治することはさして難しいことではないです。勇気を振り絞ってがんばってください(笑)
番外編 飲食店におけるチャバネゴキブリ対策
チャバネゴキブリの出現に一番頭を悩まされるのは飲食店です。なぜなら、飲食店の厨房は温かい、湿度が高い、食料が豊富、隠れ家が多いなど、彼らが好む条件が全て揃っているからです。
まずはどれぐらいの数のゴキブリに侵入されているか確認しましょう。ゴキブリは基本的には人が出入りしているときは巣にじっと潜んでいて姿を見せません。閉店後に厨房の電気を消して人の出入りを断ち、一時間ほど時間をおいてください。その後戻ってきて電気をつければ、もしゴキブリがいた場合は姿を現しているはずです。
このときに、本当に引くぐらいの大量のゴキブリが姿を見せているなんてこともザラです。これは実体験ですが、とある仕出し弁当屋の深夜の厨房に入る機会がありました。12畳ぐらいの厨房だったんですが、電気をつけた瞬間に視界に入ったチャバネゴキブリは1,000匹以上!!昼間はまったくゴキブリの姿がないような厨房でも、実はこれぐらいの数がどこかに潜んでいるという話はけっして他人事ではありません。
幸運にも1匹も現れなかった場合は良いのですが、もし少数でも発見してしまった場合は対処が必要になります。飲食店の場合は以下のような対策を施しましょう。
1.閉店後には最低限の掃除を
ゴキブリはエサの匂いに惹きつけられてやってきますし、そのエサを食べて繁殖します。床に残った油や、コーナーポケットの生ゴミなど、人間からみても汚く見えるものはきちんと掃除して片付けましょう。ただし、あくまで最低限の掃除でかまいません。髪の毛1本さえエサにしてしまうゴキブリを掃除だけでなんとかするのは物理的に不可能に近いので。
2.侵入経路を全て防ぐ
お店の勝手口などは隙間が大きかったりします。パテなどの壁材で埋めてしまうか、ゴキブリ用の市販の忌避材を塗布するようにしましょう。換気扇はできるなら回しっぱなしにしておくことをオススメします。回しっぱなしが無理なら網目のフィルターを装着。もし配水管にトラップがついていないなら、工事をしてでも必ずトラップつきのものに交換しましょう。ゴキブリの最大の侵入ルートです。厨房の床にある排水溝も工夫をしたいところ。細かい網目状のカバーをつけるか、忌避材をこまめに塗布するようにしてください。
3.巣になっていそうなところを大掃除、毒エサを設置する
ゴキブリは狭くて温かくて湿っている隙間であればどこでも巣にします。厨房であれば、大きな什器類の裏側、冷蔵庫などの電化製品の裏、排水溝の中、温かい給水管の側、長く放置されたダンボールなどが該当するでしょうか。ゴキブリの巣になっていそうなところを重点的に大掃除しましょう。その後、すぐそばにコンバットなどの毒エサ系のトラップを設置しておきます。
4.どうしても改善がされなければ業者に依頼する
それなりに費用がかかってしまいますが、一番確実で有効な手段ではあります。いまやブログ・SNSで消費者が、お店の感想を簡単に全世界に発信できてしまう世の中です。「あの店はゴキブリが出た」なんて情報を発信されしまったときの損害を考えると、多少の費用を覚悟することも仕方ないのかもしれません。
チャバネゴキブリ対策アイテム
コンバット ゴキブリ駆除剤
ベイト型のゴキブリ駆除剤としては有名どころですね。テレビCMでもよく見かけます。1cmのプラスチックケースの中に毒餌が入っていて、それを食べたゴキブリはもちろん、そのゴキブリの糞を食べたゴキブリも死滅する2段構えの仕組みになっています。レビューでの評判も高く、ゴキブリ対策を始めるならまずコレから試してみるべきというぐらいの信頼性です。
ゴキジェットプロ ゴキブリ用殺虫スプレー
ジェット式のスプレー殺虫剤です。いろんな害虫に効き目はありますが特にゴキブリ用として特化されています。「速攻!一撃必殺!」をキャッチフレーズにしており、チャバネゴキブリであれば2秒程度、大きなクロゴキブリであっても7秒程度吹きかければほぼ確実に駆除することができます。
ゴキブリがいなくなるスプレー 200mL
忌避剤、駆除剤として使えるスプレーです。ゴキブリの侵入経路と考ええられるポイントに事前にスプレーしておくことでゴキブリの接近を防ぐことができます。私も玄関や窓のさんの部分に使用していますがゴキブリが侵入したことは1度もありません。ゴキブリに直接かけて駆除を行うこともできますが、クロゴキブリであれば10秒程度吹きかけなければならず、やや遅効性ではあります。
バルサンプロEXノンスモーク霧タイプ
霧タイプの殺虫剤です。従来のバルサンでは火災警報器が検知してしまいますが、このノンスモークタイプはその心配がいりません。1匹1匹の駆除にはほかのスプレータイプが適していますが、ゴキブリが家の中で繁殖してしまっている場合にはこちらのほうが殲滅力が期待できます。
ハエタタキ
オーソドックスなハエタタキです。叩き終わった害虫をすくいやすく設計されており、さらに大きめのピンセットも持ち手側に内蔵しています。原始的ですが、薬剤などに頼りたくない場合には手元にあると心強いアイテムです。
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